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かノ櫓

かノ櫓西の丸の東南隅に建つ二重櫓がかノ櫓です。この櫓は、一階と二階が同じ寸法で建てられているので、ちょっと見ると頭でっかちのように見えます。ほかのお城でもまれに見られる形ですが、城郭用語ではこういうタイプの櫓を重箱櫓と呼んでいます。見たままですね。

 

 

桃紋鬼瓦それから、この櫓にはご紹介しなければいけない重要なお話しがあります。皆さん、鬼門と言うのはご存知かと思います。古来より鬼が入ってくると言われる不吉な方角のことで、北東の方角のことを言います。姫路城だけでなく、一般的にお城の北東の隅にはさまざまな鬼除け、魔除けの工夫がなされています。そして裏鬼門というのもあります。裏鬼門とは、今ご紹介した鬼門の真反対、すなわち南西の方角のことで、これも鬼門に次いで縁起の悪い方角とされています。そして、このかノ櫓がまさに天守から見て裏鬼門にあたる場所に建っているのです。そこで、ここに施された裏鬼門封じの工夫と言うのが櫓に桃の紋の鬼瓦をあげることなのです。桃は古事記の昔から霊力のある果物と信じられていまして、桃太郎などもまさにその象徴ですね。だから桃太郎は鬼を退治しているのです。
その桃の紋が入った鬼瓦を、かノ櫓の一階の屋根の北東角、すなわち天守と向き合う位置にあげて、鬼に対して睨みを効かせています。これは残念ながらここ城内側からは見ることはできません。城外側、菱の門から登閣口を出てすぐの右手の石垣の上に乗るかノ櫓を見上げると、双眼鏡か望遠レンズをつけたカメラのファインダーでなら見えると思います。天守に面している角の一階の屋根ですので、あとでぜひ見てみてください。
実は、この裏鬼門に対して鬼門の方角にも、まったく同じ桃の鬼瓦があがっています。北腰曲輪の一番東隅、現在へノ渡櫓と呼ばれている多門櫓の天守に向かい合った側の鬼瓦がそれです。東小天守のすぐそばですので、のちほど天守に登ったときに再度、お話しいたしましょう。

土塀の石落し城内側土塀の石落し城外側もうひとつご紹介したいのは、かノ櫓と接している左右の土塀です。それぞれ土塀の中央あたりに何かのしかけが見えますね。これは全国的にも珍しい土塀に設けられた石落しです。一般的な石落しについては、のちほど西の丸の多門櫓、通称百間廊下に入ってから詳しくご紹介するつもりですが、石垣を登ってくる敵や下の通路を通行する敵に向かって射撃する、いわば下方向に向けられた狭間です。なぜこの土塀の石落しが珍しいかと言いますと、普通、石落しと言うのはすべて室内に設けられた設備なんです。とくに天守や櫓の隅部、あるいは建物の壁や出窓の出っ張りを石落しとして利用します。しかし、ここでは屋外の土塀に直接設けられているということで、たいへん珍しいタイプなんです。姫路城ではこのかノ櫓の左右の2か所と、もう1か所すでに通ってきたのですが、はノ門の近くにもこのタイプの石落しがあります。

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