水ノ五門はやや特殊な形をしています。門の形式としてはすでに見てきた菱の門やはノ門、にノ門と同じく櫓門ですが、その櫓部分は実は大天守と西小天守をつなぐ二階建ての渡櫓なのです。逆に言えば、渡櫓の階下部分に門を設けた、と言ってもよいでしょう。 ここは4つの大小天守が4つの渡櫓でロの字型につながっている、その内庭部分に入り込む門ですから、城内でも最も重要な箇所を守る門と言ってもいいでしょう。 そのため、門の柱、冠木、扉などすべてのパーツは全面鉄板で覆われ、また上部の櫓の窓は二層とも鉄格子がはまっており、石垣や屋根から直接窓に取りついて格子を切って中に侵入しようと思ってもそうはさせません。 さらに櫓正面には隠し狭間が計6個設けられています。これは、ふだんは漆喰が塗られていて口を開けていないのですが、有事の際には内側から漆喰壁を突き破って狭間として使うものです。ここの場合は狭間の存在を隠す、というよりは、天守に近い建物だけに平時に開口していてはここから火を投げ入れられたりする危険性もある、ということを考えての措置ではないか、と思います。
もちろんこの門に取りついて攻略に苦労している敵には、とくに右斜め上の大天守から容赦ない攻撃が降り注ぎます。
左図は、水ノ一門から五門、そして次の六門までのいわゆる水曲輪の縄張と経路を示しています。いかに狭い通路を、屈曲して通らされてきたかがお分かりいただけると思います。
さて順路では、水ノ五門を入ったらすぐに左折して次の六門をくぐって天守エリアに突入するのですが、平成の修理完了以降の天守内部の状況をまだまとめきれていませんので、恐れ入りますがご案内は今しばらくお待ちください。 いったんさきほどUターンして水曲輪に入ったほノ門内までワープして、今度は直進して北腰曲輪を見ましょう。
※写真提供 K.Yamagishi’s 城めぐり