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帯ノ櫓

さて、大天守を存分に堪能したら、また備前門から外に出ましょう。
門を出てすぐ右前にある建物が帯ノ櫓(おびのやぐら)です。何やら複雑な形の建物ですね。これは、建設年代の違う2つの建物が合体しているのです。全体は上から見ると凹型の建物なのですが、向かって左の方の建物と奥の横につながっている部分のカギ型の建物は、乗っかっている土台の石垣が池田時代以前のものであることがわかっていますので、おそらく同時代に建てられたものだろうと推測されます。それに対して右側の建物はそれより新しく、のちの時代に増築されたものと考えられていますが、建築年代ははっきりしていません。
外観を見ただけで、2つの建物の違いがはっきりわかりますね。

左の部分はほかの櫓などと同じく漆喰塗り籠めの大壁造りですが、右側は素木をそのまま見せた真壁造りです。通路から入り組んだところの壁には、何やら風流な連子窓のようなものも見えます。内部は公開されていませんが、内装はもっと風流で、畳敷き、床の間もあり、天井は棹縁天井、部は四角く一段高くなって簀の子天井という茶室の炉の真上の天井の様式になっているそうです。(炉は現存していません。) これは数寄屋造りと呼ばれる建築様式で、戦闘とはかけ離れた風雅を楽しむ場所の建物です。東向きの位置に建てられていることから月見のための櫓、との見方もあるようですが、松本城や岡山城に残る月見櫓に比べれば開放感はまったくなく、どちらかというと密やかな風流を楽しむ場所のような趣です。
あるいは、備前丸に建っていた御殿建築の一部をここに移築したのかもわかりません。
実はここだけの話、姫路城にも月見櫓はあったんですよ。最初、三の丸の武蔵野御殿近くに建てられ、のちに同じ三の丸の東側の向屋敷に移築、さらに中曲輪の東屋敷に移築されました。東へ東へ、と移動しているのが面白いですね。歴代のお殿様には大好評だったようです。

帯櫓遠景さて話を元に戻して、このような他に類を見ない特徴を持つ帯ノ櫓ですが、古い部分の外面はもちろん、数寄屋造りの部分でも城外に面する東面と南面は大壁造りで格子窓と狭間を開く戦いの顔を持っています。
なお、この帯ノ櫓が乗っている石垣が姫路城内で最高の23.3mの高石垣です。さきほど下りて行った搦め手のとノ四門を出たらすぐ右側にそそり立つように見えますので、お帰りの際にでもちょっと回り道をして見て行ってください。すごい迫力ですよ。

上の写真も、K.Yamagishiさんがパノラマ写真風にうまく合成して、広角のアングルで帯ノ櫓をとらえてくださったものです。また下の写真は、帯ノ櫓と次に訪れる帯郭櫓を、お城の南の「イーグレ姫路」の屋上から望遠レンズで狙ったものです。高いほうの建物が帯ノ櫓です。こちらの面は数寄屋風のかけらもなく、普通のお城の顔をしていますね。城内一の高石垣も少し見えています。
※写真提供 K.Yamagishi’s 城めぐり

帯郭櫓(腹切丸)に進む

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